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51%の真実

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社会保障について考える ~年金改革関連法案と17年度予算~

Category - 政治
 11/25に年金改革関連法案が衆院厚生労働委員会で強行的に可決された。TPPに続いての強行的な振る舞いだが、内閣支持率や政党支持率が下がる気配もないことから、自民党は今さら躊躇する気は毛頭ない様だ。

 まずは、衆議院での年金改革関連法案審議に関して、以下に最近のニュースとその感想を書いて置きたい。

(1)「政府・与党、年金財政安定狙う…現役の負担抑制」(読売新聞 2016/11/25)
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 25日の衆院厚生労働委員会で可決された年金改革関連法案は、公的年金の給付額改定に新たなルールを設けることが柱だ。
 民進党は高齢者の年金減額につながる「年金カット法案」だと批判したが、政府・与党は「現役世代の負担を抑え、年金財政の安定や将来の年金水準確保につながるものだ」と強調している。
 安倍首相は25日の委員会で、「年金は簡単に給付を上げて保険料を下げるなんてことはできない。保険料と税金があって初めて給付がある」と述べ、新ルールに理解を求めた。(注1)
 法案の柱である新ルールは、〈1〉少子高齢化の進行に合わせて年金給付水準を抑制する「マクロ経済スライド」の強化策(2018年4月施行)〈2〉賃金や物価の変動に合わせて年金支給額を増減する「賃金・物価スライド」の見直し(21年4月施行)――の二つだ。<後略>
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(注1)
年金法案審議「何時間やっても同じ」 首相、民進質問に」(朝日新聞 2016/11/25)
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 安倍晋三首相は25日午後、公的年金の支給額を引き下げる新しいルールを盛り込んだ年金制度改革法案を審議している衆院厚生労働委員会で、「私が述べたことを全くご理解頂いていないようであれば、(審議を)何時間やっても同じですよ」と発言した。<中略>
 首相は「間違った認識で相手を非難しても全く生産的ではない。我々の法案に対する不安をあおるかもしれないが、民進党の支持率が上がるわけじゃない」と法案に反対する民進党への批判を展開した。(注2)(注3)<後略>
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(注2)
年金制度改革法案を審議 1枚のパネルめぐり国会紛糾」(FNN 2016/11/16)
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将来の年金に対する不安が高まる中、その在り方をめぐる国会の審議が紛糾した。きっかけは、1枚のパネルだった。
民進党の柚木衆院議員は、「これ、なんでだめなんですか、大臣!」、「3割カット、将来年金カット法案じゃないですか!」と述べた。
年金制度改革法案を審議している衆議院厚生労働委員会。
この場で、民進党議員が掲げた1枚のパネルをめぐり、審議が紛糾。
「あんた悪質だよ!」、「口で言え! 口で!」、「委員会のルール守れ!」などのやじが飛んだ。
問題のパネルは、法案が成立すると、基礎年金が、月5万円から、将来3万5,000円に3割カットされると示したグラフ。
このパネルは、理事会で使用が認められなかった
ものだったが、民進党議員の2人が、ルール違反を承知で使用に踏み切った。<後略>
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(注3)
<記者の目>年金改革法案 国会審議入り=吉田啓志(政治部)」(毎日新聞 2016/11/9)
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民進は政争避け議論を
 年金制度を巡り、民進党は先祖返りをしているように映る。今国会で審議入りした年金制度改革関連法案を「年金カット法案」と攻撃する様が、実態の伴わない年金改革案を掲げて2009年に政権を得た民主党の姿に重なるからだ。しかし、将来世代の年金を守ることに主眼を置く今回の法案は、検討に値する。だれもが反対したくなるような批判で政争化を狙うのではなく、冷静な議論に立ち返ることを民進党に強く望む。<中略>
 それでも、今回の法案は趣が異なる。物価より現役の賃下げ幅が大きい時に年金も賃金減少率と同じだけカットすれば、確かに年金の価値は若干下がる。ただ、今なお現役の賃金は低迷が続く。若い世代と高齢世代を公平に扱うという点で、一刀両断にすべき案だとは思えない。今のお年寄りに、「孫世代の年金を守るため、少しだけ我慢をしていただけませんか」と問いかけるのは誤りだろうか。
 民主党の年金改革案は給付を現役の賃金と人口減少率で調整する仕組みだった。つまり、物価より賃金が下がった場合は年金も下がるはずで、今の政府案と大差ない。民進党の長妻昭元厚生労働相は「民主案の要点は(全額税で負担する)最低保障年金がある点だ」と反論するものの、最低保障額の党内合意はできていない。「年金たたき」で再浮上を狙う民進党の姿は見苦しい。 <後略>
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●まず言っておきたいのは、審議時間の短さだ。今月4日に実質的な審議を始めたが、TPP問題の与野党対立の影響で審議が行われていなかった。やっと16日から審議が再開できたばかりだというのに、与党は「20時間を超えれば十分」と言って、25日に衆院厚労委で強行的に可決し、29日には衆院を通過させる予定だ。これなら、もし臨時国会の延長を12/10にしても、参院での強行的採決も十分に可能だ。

●もっと問題なのは審議の中身だ。安倍首相は「私が述べたことを全くご理解頂いていないようであれば、(審議を)何時間やっても同じですよ」と言ったが、安倍首相が質問者や国民に理解してもらえるように、真摯に対応しているとはまったくもって言い難い。民進党が用意したパネルの使用を認めなかったこともそうだし、口頭で話す内容も具体的な試算の数値を基にした議論はなく、はぐらかして時間稼ぎしようという姿勢が目立つ。野党の図表での主張が間違っているのなら、その間違いを指摘し正しい資産のパネルで対抗すれば良いのだ。そもそも口頭だけで説明されても、簡単に理解できるような頭の良い人はそうそういないだろう。

●ただし民進党も、国民を味方につけたいが為に「年金カット法案」とただ反対するだけでなく、具体的にどこをどう直すべきかも指摘して議論して欲しい。安倍首相が言うように「簡単に給付を上げて保険料を下げるなんてことはできない」ことは解っているだろうし、「現役世代の負担を抑え、年金財政の安定や将来の年金水準確保につなげる」必要がある。過去に自分達が提示した案も、本質的には自民党案と差はないはずだ。給付額の少ない世帯も一律に給付を下げると、生活ができない国民が出てしまう。この世帯をどう守るのかの議論が必要だろう。

●そしてやはり、抜本的な年金制度の見直しに手を付けなければならないということを、真剣に考えるべきだ。


 次に17年度予算編成のニュースから、社会保障全体について少し考えてみたい。

(2)「17年度予算、97兆円前後 社会保障5000億円膨張」(日経新聞 2016/11/26)
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 政府は25日、経済財政諮問会議で2017年度予算編成の基本方針案を決定し、編成作業を本格化させた。予算総額は前年比で5000億円程度膨らむ社会保障費が押し上げ要因(注4)となり、97兆円前後の調整となる見通しだ。足元の税収に下振れ懸念がくすぶるなか、6年連続で減らしてきた新規国債の発行額を17年度も減らせるかが焦点になる。<中略>
最大の押し上げ要因は社会保障費だ。医療(注5)・介護分野の高齢者負担の拡大などで自然増を1400億円程度抑制するものの、高齢化で年5000億円増える。社会保障費に公共事業費なども含めた一般歳出は前年比5300億円増として、58兆円台前半の調整となる見通しだ。<後略>
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(注4)
平成28年度一般会計予算(平成28年3月29日成立)の概要」(財務省HP)
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平成28年度一般会計予算は約96.7兆円ですが、このうち歳出についてみると、国債の元利払いに充てられる費用(国債費)と地方交付税交付金と社会保障関係費で、歳出全体の7割超を占めています。一方、歳入のうち税収は約58兆円であり、一般会計予算における歳入のうち、税収でまかなわれているのは約6割弱であり、4割弱は将来世代の負担となる借金(公債金収入)に依存しています。
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(注5)
健康ゴールド免許・勤労者皆保険… 小泉進次郎氏ら提言」(朝日新聞 2016/10/27)
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 自民党の小泉進次郎・農林部会長ら若手議員が26日、2020年以降の社会保障改革のあり方について提言をまとめた。定期検診などで健康管理に努めた人を対象に、医療保険の自己負担を3割から2割に引き下げる「健康ゴールド免許」導入などの施策を打ち出した。
 「人生100年時代の社会保障へ」と題した提言は、高齢化と人口減少が進む中、歳出を抑え、社会保障を維持させることに主眼を置いた。
 
企業に働く人が正規・非正規を問わず社会保険に加入できる「勤労者会社皆保険制度」の創設をうたった。年金の受給開始年齢の上限を現行の70歳からさらに引き上げ、働く高齢者にも保険料を納める側になってもらう「人生100年型年金」への移行を盛り込んだ。<後略>
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●(注4)の図で解るように、歳出のうち一番割合が大きいのは「医療」、「年金」、「福祉」、「介護」、「生活保護」などの社会保障関係費で、1/3を占めている。今後も高齢化化進むに従い、どんどん割合が増えていく。ここを減らしたいと考えるのはしごく当たり前だ。だから(1)のように年金を減らす方法や「健康ゴールド免許」というような案が出てくる。弱者を追い詰めることにならないかを検証し、セーフティネットも考えておく必要があるだろう。

●小泉議員を中心とする自民党若手議員の提言でも、年金の受給開始年齢の上限を現行の70歳からさらに引き上げるという案が出てきている。これについては今の若者自身も、70歳以上まで働き続ける必要があるし、本当にそれで自分たちが年金をもらえる保証もある訳ではない。やはり抜本的な見直しが必須だろう。

●憲法改正議論よりも、将来の社会保障の在り方やそれを実現するための税の在り方について、もっと深く議論し国民に信を問う方が最優先ではないだろうか。



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社会保障費 年金改革関連法案 17年度予算 健康ゴールド免許

1 Comments

山田  

17年度予算

17年度予算審議は年明けに始まりますが、
1月29日~2月19日に衆院選が行われるとなれば
第39回衆院選が行われた1990年(2月18日投開票。地元名古屋市出身の海部首相でした)の例から予算審議が6月までかかる可能性があります。

2016年11月下旬になり想定外のアベノミクスバブルが崩壊、外交情勢の変化もあり、第48回衆院選は結局2018年4月22日以降になる可能性が高くなりました(下手したら2018年12月9日の任期満了に)。

年金改悪法案が議論されていますが、
現役世代(2017年度の場合は1953(昭和28)年4月2日以降生まれ)の社会保障はどうなるか気になります。

2004年に流行語となった100年安心プランはとうに破綻しています。

2022年1月から2025年4月までの間に団塊の世代が後期高齢者になりますし、
2036年からは団塊ジュニア世代が現役世代を卒業します。

それどころか、2017年4月2日からはゆとり世代が30代を迎えますし、
小池東京都知事が100歳を迎える2052年になれば現役世代は全てゆとり以降世代となってしまいます。

2016/11/28 (Mon) 21:57 | EDIT | REPLY |   

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