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51%の真実

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DeNAのキュレーション問題に思う

 キュレーションとは「情報を選んで集めて整理すること」で、収集した情報を特定のテーマに沿って編集したまとめサイトは、新たな意味や価値を生み出す貴重な存在だ。

 インターネットには多種多様な情報が溢れており、簡単に必要な情報を得られる「まとめサイト」のお世話になっている人も多いだろう。意識しているか否かにかかわらず、大なり小なりキュレーションサイトと切り離せない生活を送っているはずだ。

 それではどうしてキュレーションサイト運営の急先鋒の一角であったDeNAが、サイトを閉鎖し12/7に謝罪会見に追い込まれたのだろうか?

 それは以下の記事にあるように、致命的な2つの問題を抱えていたからである。まずは記事を参照して頂きたい。

(1)「DeNA南場会長「WELQを検索して愕然とした」~謝罪会見、4つの疑問」(PRESIDENT Online 2016/12/8)
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DeNAは12月7日、「WELQ」など10のキュレーションサイトを閉鎖したことについて謝罪会見を行った。<中略>
 今回、DeNAのキュレーションサイトが問題になった理由は、大きく分けて2つある。
1つは、WELQにおいて、医療の専門知識を持たないライターが書いた医療系の記事を掲載していながら、その内容についての正確性を担保せず、不正確な内容の情報を公開していたということだ。<中略>
 もう1つはMERYやiemo、Find Travelなど、同社のキュレーションサイト全てに関わる、記事の制作プロセスである。一般のメディアサイトであれば、編集部があり、外部スタッフ(ライターや編集協力、カメラマンなど)と協力しながら、取材などを元にオリジナルの記事を制作していくのが常だ。しかしDeNAのキュレーションサイトではオリジナルの記事を書く代わりに、外部のサイトに書いてあることを無断でコピー&ペーストし、文末を少し書き換えてまったく同じ文章にならないようにすることで“オリジナル”な記事に仕立てる、という作り方をし、制作コストを極端に低く押さえていた。これは他サイトに掲載されていたコピー元の記事を書いた人たちの著作権侵害に当たるのではないかという指摘だ。<中略>
疑問1:「iemo」「MERY」買収時に、著作権違反サイトという認識はなかったのか
DeNAのキュレーションプラットフォーム事業は、2014年にiemoとMERY(運営会社:ペロリ)を買収したところから始まっている。買収する場合には対象企業や事業のデューデリジェンス(財務、法務などさまざまな観点からの調査。その結果を受けて契約内容や買収額を決める)が行われるのが常だ。DeNAがiemoとペロリを買収するときに、キュレーション事業について著作権違反という認識があり、今回のような問題が起こる可能性があることを買収時にある程度予見していたのか。あるいはデューデリジェンスでの説明が正確でなかったために誤認していたのだろうか。
この質問に対し、守安氏は以下のように答えている。「買収時に当然デューデリジェンスは実施した。その中で著作権に対する考え方、法的な観点からリスクは一部あるかもしれないと分かった上で買収の判断を行いました。ただその時『法的な観点のみから見れば、このような考え方で大丈夫なんじゃないか』という議論があったが、本来その時に『もっと著作権者の方がどのようにこの事業を考えるのかを含め、配慮が不十分だったのではないか』と反省しているところです」<後略>
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 生き馬の目を抜くようなインターネットサービスの世界では、多少はずる賢くないと生き残れないのかもしれないが、それにしても青太字の守安氏の言葉は空々しく感じる。配慮が不十分だったのではなく、問題は十分に承知していながら敢えて行っていたのだろうと思えるからだ。


 このように考えるのはサービスの形は違えど、本質的には同じ問題を繰り返しているからだ。キュレーション問題で直ぐに思い浮かんだのが、以下の「コンプガチャ問題」だ。 

(2)「コンプガチャ全廃へ グリー・DeNA・サイバーなど ソーシャルゲーム業界、足並みそろえ自主規制」(日経新聞 2012/5/9)
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 ソーシャルゲーム業界で「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」と呼ばれる手法を廃止する動きが一気に広がっている。コンプガチャは複数カードをそろえると希少性の高いアイテムが入手できるもので高額課金の温床となっていた。消費者庁は来週にも違法との見解を公表する見通し。
 これを受け、プラットフォームを運営するグリーやディー・エヌ・エー(DeNA)、ミクシィ、サイバーエージェント、ドワンゴ、NHN Japanの6社は9日夜、自社で開発する内製ゲームについて、コンプガチャを5月末までにすべて廃止すると発表した。また、6社のプラットフォーム上でゲームを配信する外部の開発会社(SAP)についても、コンプガチャの全面廃止に向けてガイドラインを作成し、早急に公開するとした。<中略>
 有料のガチャで特定のカードを何枚かそろえたら希少(レア)なカードをプレゼントするコンプガチャは、ガチャの売り上げを2~3割ほど伸ばす効果があるといわれている。昨年後半からソーシャルゲーム各社が相次ぎ導入していた。サイバーエージェントの藤田社長はこう語る。
 「コンプガチャが出てきてからソーシャルゲーム市場が跳ね上がった。もともと高収益だったソーシャルゲームが、“異常”が付く高収益になった。みんなやらざるを得ない。でも、この1年は異常だった。僕もヘンだと思っていたし、いい機会だと思う。健全な成長をたどるよう、ちゃんと戻していきたい」<後略>
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 青太字のサイバーエージェント藤田社長のコメントが、今回のDeNAのキューレート問題の本質をとらえていると思う。「ヘンだと思っていても、高収益になるからみんなやらざるを得ない」ということだ。

 コンプガチャ問題でもDeNAは当事者であったはずだ。しかしこの時の経験が、DeNAに今回のキューレーション問題を引き起こさせる原因になったのではないかと感じる。

 つまり、法的に(かなり黒に近い)グレーでも、高収益になるならやらないという選択肢はあり得ない。もし問題が表面化して大きくなり、世間でバッシングが始まったら、その時に神妙な顔をして反省して対策を実施すればいいだろう、という考え方が根底にあるということだ。

 今回の会見を見ても、DeNAはどちらかというと運が悪かったという気持ちの方が強いのではないのか? どうしてもそう疑ってしまうのである。


 思い返すと、世の中がこのような風潮になったキッカケは、2000年前半のライブドア事件にあるような気がする。この頃からそれまでは裏社会での出来事だと思っていた、法律の抜け道を見つけてそれをうまく利用して金儲けに繋げる行為が、表社会でも「新しい手法やサービス」という隠れ蓑を使うことにより、堂々と行われるようになったと感じる。

(3)「ライブドア事件」(Wikipedia)
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ライブドア事件(ライブドアじけん)とは、ライブドアの2004年9月期年度の決算報告として提出された有価証券報告書に虚偽の内容を掲載したとする疑いが持たれるなど証券取引法等に違反したとされる2つの罪で、法人としてのライブドアとライブドアマーケティングおよび同社の当時の取締役らが起訴された事件である。<後略>
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 そしてそれは新興のインターネット企業に留まらず、既存の大手企業をも飲み込んで、モラルハザードを引き起こしているように感じる。

(4)「東芝、不適切会計問題を読み解く」(日経新聞 2015/7/21)
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<前略>
■不適切会計招いた「利益至上主義」
(報告書によると)本体の社長らがカンパニートップや子会社社長と面談する「社長月例」では「チャレンジ」と称した収益改善の目標値を設定。とりわけ佐々木副会長が社長を務めた2011、12年度は過大な目標が示されていた。報告書は「各カンパニーのトップらは目標を必達しなければならないというプレッシャーを強く受けた」と指摘した。
これが不適切会計を助長する要因になったようだ。営業努力では不可能な数字を出すために各カンパニーは来期以降の利益を先取りしたり、当期の費用計上を先送り。その反動で次の期はさらに多額の不適切会計に染まるという泥沼に陥った。
<後略>
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 東芝を擁護する気は毛頭ないが、国民全体にこのような雰囲気を醸成させていった、政治家の責任も非常に重いのではないだろうか。政治家が安易に規制緩和を推し進め、負の部分の対応を蔑ろにしてきたツケではないかと思われてならないのである。


 悪貨が良貨を駆逐するような世の中は、とても生きにくい。なんとかこの流れを食い止めて、正しい方向に向かわせる方法は無いものだろうか。

 しかしそれは一朝一夕にできるものではなく、国民一人一人が今夏のキュレーション問題の根底にある本質的な問題点を認識し、それは許されない行為なのだと声を上げていくことが重要なのである。


p.s.
 この文章を書くのを躊躇っていて公開が遅くなってしまった。というのは、私もブログを書いていてグレーだなと思うこともたまにあり、大なり小なりDeNAと同じ過ちを行っているのではないかと、いつもビクビクしているからだ。この文章がブーメランとなって、自分自身に跳ね返ってこないように、これからも十分に注意していきたいとは思っているのだが・・・

(5)「あなたが「WELQ」にならないために 「引用」と「盗用」の境目は」(宮田健,ITmedia 2016/12/13)
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<前略>
 ただ、ITの世界で“やっていいこと”もあります。それは「著作物の引用」。ルールさえきちんと守れば、他者のコンテンツを“引用”という形で紹介することができるのです。そのルールとは「1.きちんと公開されていて引用する必然性があるものを」「2.かぎかっこなどで明確に区別し」「3.引用範囲があくまで“従”になる正当な範囲内で」「4.オリジナルの出どころを明示する」という、4つのルールが必要です。
”引用と言えるためには、[1]引用する資料等は既に公表されているものであること、[2]「公正な慣行」に合致すること(例えば、引用を行う「必然性」があることや、言語の著作物についてはカギ括弧などにより「引用部分」が明確になってくること。)、[3]報道、批評、研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること、(例えば、引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であることや、引用される分量が必要最小限度の範囲内であること)、[4]出所の明示が必要なこと(複製以外はその慣行があるとき)(第48条)の要件を満たすことが必要です(第32条第1項)。”
※文化庁「著作権なるほど質問箱」による引用の定義。このルールに従うことで、正しく引用が可能なこともぜひ知っておこう。
<後略>
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