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51%の真実

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全ては憲法改正に繋がっている2 ~カジノ法案/テロ等準備罪~

Category - 政治
 安倍首相が憲法改正に着手する上で、現状最も実現したいのは「緊急事態条項」を盛り込むことだと思う。そんな安倍首相の思いを見越してか、札幌弁護士会が以下のような会長声明を、1/24にホームページに掲載した。

(1)「緊急事態条項(国家緊急権)を憲法上創設することに反対する会長声明」(札幌弁護士会 2017/1/24)
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 現在、国会による憲法改正の発議が現実になろうとしている。
 昨年11月からは、具体的な改正条項を検討するために衆参両院の憲法審査会で実質的な討議が行われており、とりわけ与野党の複数の会派から緊急事態条項(国家緊急権)創設の必要性が語られている。
 ここにいう緊急事態条項とは、戦争、内乱、恐慌、大規模な自然災害等、平時の統治機構をもってしては対処できない非常事態において、国家の存立を維持するために、立憲的な憲法秩序(人権保障と権力分立)を一時停止して非常措置をとる権限、いわゆる国家緊急権を、行政権力に認めるものである。
 このような条項の創設について、当会は断固反対する。なぜなら、緊急事態条項(国家緊急権)は、基本的人権の尊重に対する大きな脅威となる危険性が非常に高いばかりでなく、そもそもその必要性も認められないからである。<中略>
 他方で、緊急事態条項(国家緊急権)は災害対策のためやテロ対策のために必要だとの主張がある。
 しかし、すでに日本の災害対策法制は精緻に整備されており、憲法に緊急事態条項(国家緊急権)を設ける必要はない。<中略>
 また、テロは、政治的目的を持った特定の犯罪であるから、平時における警察機構による対処をすべきであり、実際、1995年(平成7年)に地下鉄サリン事件が起きた際にも、平時の警察活動、司法手続によって適切に対応することができた。<後略>
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 私は札幌弁護士会の声明に全面的に同意する。しかし自民/公明/維新で衆参ともに2/3以上の議席を確保している現状で、安倍首相がこの声明に耳を傾けることは全く期待できないだろう。そして、この優位な状況を逃さずに一気に憲法改正案の可決まで持って行き、国民投票にこぎつけたいと考えているに違いない。

 2016年末~2017年初の衆院解散をあきらめたこと、2016年末に有り得ない無理なスケジュールでカジノ法案を成立させたこと、そして2017年の通常国会でテロ等準備罪に名前を変えて共謀罪を成立させようとしていること、これらは決して偶然ではなく、憲法改正実現の為に緻密に練られた作戦の段取り(パズルのピース)ではないかと、私には思えるのである。


 表1は、現在の各党の衆参議席数と昨年末のカジノ法案での公明党の賛成議員数から、憲法改正法案で2/3以上の賛成が得られるかを考えてみたものである。

【表1】衆議院と参議院で2/3以上の賛成を得る為に必要な条件の考察

衆議院2016年(平成28年)1026日時点)

参議院2017年(平成29年)116日時点)

党派

議席

改憲賛成数(注1

党派

議席

改憲賛成数(注1

自由民主党・無所属の会

294

294(注2

自由民主党・こころ

126

126(注2

公明党

 35

 22(注3)(注4

公明党

 25

 18(注3)(注5

日本維新の会

 15

15(注2

日本維新の会

 12

12(注2

小計

344

33114人余裕有)

小計

163

1566人不足)

民進党・無所属クラブ

 96

 

民進党・新緑風会

 50

 

日本共産党

 21

 

日本共産党

 14

 

自由党

  2

 

希望の会(自由・社民)

  6

 

社会民主党・市民連合

  2

 

無所属クラブ

  4

 

無所属

 10

 

沖縄の風

  2

 

 

 

 

無所属

  3

 

合計

475

317(2/3以上確保)

合計

242

162(2/3以上確保)

(注1)最も楽観的に考えた場合の改憲賛成数

(注2)自民党と日本維新の会は全員が欠席や棄権することなく賛成すると仮定

(注3)公明党はカジノ法案での賛成者が全員賛成すると仮定


(注4)「
カジノ解禁法案 公明党議員のIR整備推進法案賛否一覧」(iZa 産経新聞 2016/12/6)
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 ■公明党衆院議員35人のIR整備推進法案の衆院本会議採決での賛否一覧(敬称略)
 【賛成(22人)】伊佐進一、伊藤渉、石井啓一、石田祝稔、上田勇、浮島智子、漆原良夫、江田康幸、太田昭宏、岡本三成、北側一雄、国重徹、輿水恵一、佐藤茂樹、斉藤鉄夫、高木美智代、高木陽介、遠山清彦、中野洋昌、浜地雅一、樋口尚也、吉田宣弘
 【反対(11人)】井上義久、稲津久、大口善徳、佐藤英道、竹内譲、角田秀穂、富田茂之、中川康洋、浜村進、真山祐一、桝屋敬悟
 【棄権(1人)】赤羽一嘉
 【欠席(1人)】古屋範子(厚生労働副大臣として外国出張のため)
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(注5)「
公明、山口代表ら7人反対=賛成は18人-カジノ法案」(時事通信 2016/12/14)
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 14日の参院本会議で行われたカジノを含む統合型リゾート(IR)推進法修正案の採決で、自主投票で臨んだ公明党は、山口那津男代表や魚住裕一郎参院会長ら7人が反対票を投じた。一方、西田実仁参院幹事長ら18人は賛成に回り、対応が分かれた。棄権・欠席はなかった。<後略>
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 今の日本維新の会は、もうほとんど自民党の一会派と言って差し支えない政党だと思う。従って最も楽観的な予測として、自民党系と維新は全議員が賛成し、公明党はカジノ法案に賛成した議員がそのまま憲法改正案にも賛成すると仮定して人数を算出してみた。

 すると、衆議院では331人と2/3を14人も上回りかなり余裕で改正案を成立させられるが、参議院では156人と2/3に6人不足することが解る。憲法改正実現の為には、衆議院ではなく参議院をどうにかする必要があるのだ。

 次の参院選は2019年7月であり、そこで今以上の議席を確保できる可能性はほとんどないだろう。

 (そして安倍首相にとって、憲法改正の方が政権維持期間を延ばすことよりも優先度が高いと思われること、これが「2017年最初(で最後?)の解散総選挙予測」で、案3や案4の任期満了近くまで衆院解散が無いと予測する根拠になっている。)


 それではこんな状況で、安倍首相はどんな手を考えるだろうか?

 その1つ目が、公明党の賛成議員数を増やすために賛成しやすい条件を探すことだ。その為に「テロ対策」という目的を全面に打ち出して「テロ等準備罪」と名称を変えた「共謀罪」を含む法案を、今国会で通そうとしているのだと思う。

 このやり方で、公明党の賛否議員の割合がどのように変化するのかを確認することが、隠された重要な目的であると感じる。早速、カジノ法案には反対した井上幹事長が、テロ等準備罪には賛成するような発言をしている。

(2)「「テロ等準備罪」通常国会で成立させる考え 公明幹事長」(朝日新聞 2017/1/27)
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  犯罪の計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を変えた「テロ等準備罪」を新設する法案について、公明党の井上義久幹事長は27日の記者会見で、通常国会に提出して会期内に成立させる考えを示した。
 井上氏は、対象犯罪をテロ対策に必要な罪種に絞り込む作業を政府が進めている、としたうえで、「この国会に出すという方向で考えている。当然、(会期内の)成立を見込んだうえで国会に出すということは基本だ」と語った。提出時期については、今後の国会の状況を見極める、とした。
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 テロ対策と絡めた場合に、どのくらい公明党を取り込むことができるのか? 今国会はこの1点が最も注目すべきポイントになるだろう。

 しかしそれでも参議院で2/3を確保するためには、公明党のほとんどの議員が賛成する必要があり、可能性はかなり低いと思われる。

 これに対する対策として2つ目に考えられるのが、次の2つのオルタナティブプラン(代替案)だ。

 【プランB】
 民進党の分裂を誘発し、安倍首相に考えが近い議員が作る政党を取り込む(p.s.を参照)

 【プランC】
 「緊急事態条項」は諦め、公明党が賛成しやすい条項での憲法改正に切り替える


 現状のような世の中の流れが続くと、安倍首相の野望を達成させてしまう可能性も十分あり得る。もし安倍首相を失墜させられたとしても、自民党の後継の誰かが達成してしまうかもしれない。

 そんな望まない未来にならないように、折れそうになる心をごまかしながらでも、こつこつと発信を続けていかなければならないと思っている今日この頃であった・・・


p.s.
 東京都議選で民進党が小池氏に近づく行為は、東京都政という範疇で考えれば悪くは無いのかもしれないが、国政という観点で考えると、プランBを後押しし結局は、安倍首相または自民党に漁夫の利を与えてしまう可能性が高いのではないかと危惧される。



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憲法改正 緊急事態条項(国家緊急権) 札幌弁護士会 会長声明 カジノ法案 テロ等準備罪 共謀罪

3 Comments

山田  

もし2016年秋に衆院が解散していたら。岐阜県知事選・美濃加茂市長選と北九州市議選

安倍首相は2016年6月時点では2016年10~12月に第48回衆院選を行いたかったようです。

2016年9月26日解散→10月23日投開票、
第46回(12年)や第47回(14年)のような師走選挙にゲンがいいから11月28日解散→12月18日投開票
(衆院の師走選挙は1969年の第32回衆院選に始まり過去6回行われている)
のどちらかのシナリオでした。

しかし、7月10日の第24回参院選に続いて舛添前知事の辞任に伴い7月31日に東京都知事選が行われ自民分裂になったこと、
熊本地震のような大震災があった年は10~12月に衆院選が行われたことがないこと、
第13回参院選が6月26日に行われた1983年は11月28日に衆院を解散→12月18日に第37回衆院選が行われたが、
統一地方選挙(4月10日、24日)や第13回参院選で浪費したから体力がなかったうえに任期満了(1984年6月17日)まで半年しかなかったのもあり自民は惨敗しました。

このため、2016年10月の衆院選は断念し東京10区(豊島区etc)・福岡6区(久留米市etc)の衆院補選を10月23日に行われました。ともに自民党志帥会(二階派)が圧勝。

日露山口会談が2016年12月15日に決まった時点で第48回衆院選は師走選挙の思惑ができなくなり断念し山形県知事選(その後、吉村氏の無投票3選になりました)と同じ2017年1月22日以降投開票に確定しました。

6月26日の英国EU離脱多数決に続き11月8日に米国トランプ大統領当選も拍車がかかりました。

前述の第37回衆院選より後に行われた衆院選は下記3例を除き前回衆院選から3年以上が経過していること、
2018年正月に池田大作生誕90年祭が予定されていること
(創価学会・公明党は池田生誕祭に命を懸けている)、
小選挙区区割り変更に伴う周知・候補者調整から
第48回衆院選は第47回から3年4か月が過ぎた2018年4月15日以降になる可能性が高く、
第25回(1952年8月)、
第34回(1976年12月)、
第39回(1990年2月)、
第42回(2000年6月)、
第45回(2009年8月)
と並ぶような3年半以上ぶりの衆院選ではと思われます。

1983年以降の衆院選で前回から3年未満だった衆院選は
第38回衆院選(1986年7月6日)、
第44回衆院選(2003年11月9日)、
第47回衆院選(2014年12月14日)
のみで、他は全て3年以上が経過しています。

欧州で選挙ラッシュが予定されている2017年は日本では地方選挙ラッシュですが、
昨日は岐阜県知事選と北九州市議選etcが行われました。

岐阜県知事選は1977年から丑・巳・酉年の1月に行われているが、2005年初当選の古田氏が圧勝しました。
同じ日、岐阜県東南部の美濃加茂市では出直し市長選が行われ、藤井前市長(32歳)の再選が決まり大阪府四條畷(しじょうなわて)市に次いで2番目に若い市長になります。
美濃加茂市は自宅から北へ35kmに位置し名古屋市のベッドタウンであるとともに、
ソニー工場撤退後に千趣会(本社・大阪市北区)の流通センターが進出
(千葉県船橋市、京都府京田辺市、兵庫県西宮市に分散していた流通センターを美濃加茂市へ移転統廃合)、
国道21号(岐阜県瑞浪市~滋賀県米原市)と国道41号(愛知県名古屋市東区~富山県富山市)が交わる街であり
郡上・飛騨・金沢・富山方面へ行く通り道にあります。
美濃加茂市長選は2017年5月に任期満了を迎えるため5月に再び行われます。

北九州市議選は任期満了であり、九州第2位の市人口を誇る福岡県北九州市の活性化を問う選挙だったようです。
1963年2月に福岡県の門司市・小倉市・戸畑市・八幡市(※)・若松市が合併した北九州市は3大都市圏以外で初の政令指定都市であり107万人になりましたが、近年は人口減少・高齢化が深刻です。
産業の空洞化に加えて、九州の中心機能が福岡市へシフトしたとあって人口流出が続き今や香川県とほぼ同じ96万人に減りました
(ちなみに福岡市は現在155万人)。
北九州市八幡東区のスペースワールドは2017年に閉鎖が決まり拍車がかかります。


市名重複は原則禁止されている(府中市と伊達市は特例)のはご承知の通りでしょうが、
現存する京都府八幡市は1977年に綴喜(つづき)郡八幡町が市制したため福岡県八幡市と重複したことはありません。
かつて存在した愛知県守山市(1963年から名古屋市守山区)と現存する滋賀県守山市(1970年市制)の関係と同様に。
京都府八幡市は「やわた」、北九州市八幡は「やはた」。舛添前東京都知事は当時の福岡県八幡市出身。
若松区の前身の福岡県若松市は1926(大正15)年に市制、
1898(明治31)年市制の福島県若松市より後に市制したものの若松市が被ってしまいましたが、
1957(昭和32)年に福島県若松市が隣接町村との合併で会津若松市へ改称したため重複が解消されています。

現在、同字市名が被るのは
東京都府中市(1954年市制)と
広島県府中市(1954年市制。広島県東南部に位置するが、同じ広島県の西南部に安芸郡府中町が存在し両市町間は100km程離れている)、
北海道伊達市(1972年市制)と
福島県伊達市(2006年市制)
があります。

中小自治体選挙では同じ2017年1月29日、玄海原発に近い佐賀県唐津市で任期満了に伴う市議選が行われましたが、青木茂候補が2人当選という珍現象が生じました。

2017/01/30 (Mon) 10:58 | EDIT | REPLY |   

B4  

Re: もし2016年秋に衆院が解散していたら。岐阜県知事選・美濃加茂市長選と北九州市議選

山田さん、コメントありがとうございます。

安倍首相にとっては、衆参同時選挙が第一本命だったことは間違いありません。参院選の勢いが残っているできるだけ早い内に衆院選を行いたかったことも間違いないでしょう。
それが出来なかったことが、日本国民にとって良かったのか悪かったのかは判りませんが、本来は運が良かったと考えるべきだと思います。しかし、今の世論調査での内閣支持率を見ると、この判断にも自信が持てなくなってしまいます。

2017/01/30 (Mon) 22:49 | REPLY |   

山田  

過去の経験上、年越せば勢いは衰える

ありがとうございます。
2016年7月10日に行われた第24回参院選の勢いで衆院選を行うには2016年内に投開票を行うべきでした。

過去の経験上、年越せば1月(公示日の関係上16日以降となる)投開票だろうと勢いが下がり景気低迷でさらに人気が下がるからです。

師走選挙が1969年以来6回も行われたのは、勢いが低下する前の年内選挙が有利だからです
(1976、83年は自民が追い込まれたが)。

第24回衆院選(1949年1月23日)は吉田自由党が勝利し1年9か月ぶり政権交代を実現したが、
その後の年始選挙は3回あったものの吉田自由党→自民党が議席を減らすジンクスがありました。

第26回衆院選(1953年3月14日)は吉田自由党が議席を減らし6月19日の参院選にも影響が出た、
第31回衆院選(1967年1月29日)は自民党が大都市部で議席を減らし4月9日の東京都知事選にも影響が出た、
第39回衆院選(1990年2月18日)は前年7月16日の参院・都議W選の浪費から年を越し第38回任期満了年(満了日の7月1日まで5か月を切っていた)になったこともあり自民は30議席減らしました。

1983年12月18日の第37回衆院選で自民が惨敗したのは、6月26日の第13回参院選で浪費したのもあるが、4月10~24日の統一地方選挙で浪費した、第36回満了日まで半年に迫ったのもあるようです。

1983年と比べて2016年は10~12月に衆院選を行えば自民圧勝ができたかも知れません。
2016年12月9日までに解散しかったから勢いが低下してしまったのではと後悔も
(日露会談が10月に行えたらだがロシアの都合上できなかった)。

年越して失敗したのは他に、
2008年秋に麻生首相が衆院選を行わず2009年の地方選挙ラッシュで自民候補が軒並み苦戦する等が生じてから任期満了直前に解散し8月30日に政権交代となったのを思い出します。

2017/01/31 (Tue) 01:11 | EDIT | REPLY |   

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