Welcome to my blog

51%の真実

Article page


黒田総裁の憂鬱 ~出口戦略時期尚早の真意と暴れる長期金利~

Category - 経済
 日銀の黒田総裁は、1月31日の金融政策決定会合後の記者会見で、異次元緩和の出口戦略議論は時期尚早とのたまった。

(1)「黒田総裁、緩和の出口戦略「議論は時期尚早」」(日経新聞 2017/1/31)
----
 日銀の黒田東彦総裁は31日の金融政策決定会合後の記者会見(注1)(注2)で、金融緩和に伴う日銀の財務悪化や金融緩和の出口戦略についての質問に対し「議論するのは時期尚早。具体的な形で申し上げるのは適切でない」と答え、従来の立場を繰り返した。
 質問をしたのは会見の度に総裁に変化球を投げる記者(注3)。記者はいずれ日銀に赤字が発生するのではないかと指摘し、国民に知らせるべきだと主張した。黒田総裁はやや顔をしかめ「演説の場では無い。特に答えるつもりはない」とこたえた。米国でも出口戦略は、当初公表した形と、実際に進めているやり方が異なっていることを引き合いに出した。
----
(注1)「LIVE! 日銀総裁会見~成長率見通し上方修正へ」(USTREAM 2017/01/31)


(注2)「日銀総裁の会見要旨」(日経新聞 2017/2/1)

(注3)ブルームバーグ(Bloomberg)の日高正裕記者のこと。問題視されている記事についてのまとめは最後に(注4)でリンクした。


 出口戦略に関係する部分は、埋め込んだ動画の32分~38分30秒までだが、日高記者の質問が3分45秒もあるのはちょっと異常だ。日高記者の質問は非常に重要な内容なのだが、日高記者が”いわくつき”人物(?)なので、軽くあしらわれてしまうのが残念でならない。

 ただ、黒田総裁の「(インフレ率)2%に向けた道半ばの状況で、出口戦略の議論は時期尚早」という回答はあまりにも無責任だ。本来の計画であれば2015年4月には2%は達成されて、既に出口戦略を実施している予定だったのだから。

 しかし、黒田総裁はもう出口戦略を口にすることは出来ない状況にまで追い詰められてしまっており、このような回答しか出来なくても仕方が無い。その理由は以下の記事が示している。


(2)「債券15時 長期金利が一時1カ月ぶり高水準、中期債買いオペ見送りで」(日経新聞 2017/1/25)
----
  25日の債券市場で国債利回りが上昇した。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時、前日比0.030%高い(価格は安い)0.080%と昨年12月19日以来、約1カ月ぶりの高い水準をつけた。日銀が実施した国債買い入れオペ(公開市場操作)で多くの市場参加者が予想していた中期債が対象から外れたことで、量的・質的金融緩和の縮小が意識されて売りが膨らんだ。<後略>
----

(3)「長期金利一時0.150% 日銀オペに失望、急上昇」(共同通信47ニュース 2017/2/3)
----
 3日の東京金融市場は、日銀が同日通知した国債買い入れオペ(公開市場操作)の国債購入額の増額幅への失望感から、長期金利が一時0.150%まで急上昇して、連日で約1年ぶりの高水準となった。<中略>
 日銀が午後に入り、金利低下を狙って、固定の利回りを指定した上で国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を通知したことから長期金利は急落したが、トランプ米大統領は、アベノミクスの柱である日銀の大規模な金融緩和に批判的な発言をしている。
----

(4)「暴れる金利 日銀、苦悩の「実弾介入」7239億円」(日経新聞 2017/2/3)
----
 日銀の苦悩が深まっている。3日午前の長期金利の上昇に驚いたのか、午後に入って、あらかじめ指定した利回り(価格)で国債を買い入れる「指し値オペ(公開市場操作)」を通知した。指し値オペの実施は昨年11月以来2カ月半ぶりで2度目。このところの長期金利の上昇を受けて、日銀は午前10時すぎに実施した国債買い入れオペを増額したが、その後も長期金利の上昇が止まらず、次の対応を迫られた格好だ。<後略>
----

 黒田総裁がもう出口戦略を口にすることが出来ないのは、それを匂わせるようなことをしただけで、国債利回りが急上昇してしまうからだ。いま本当に少しでもマイナス金利や異次元緩和を縮小したら、ここ2週間くらいの国債利回りの上昇では収まらないだろう。

 それを避けるには、もう崖から落ちてもアクセルを踏み続けるしかない。つまり日銀は、破綻するまでどこまでも国債を買い続けるしかない・・・。黒田バズーカというパンドラの箱に残っていたのは”希望”という名の仮面を被った”絶望”だったのだ。

 トランプ大統領出現により、予測よりも早く化けの皮が剥がされることになったと感じる。黒田総裁はトランプ大統領を心の底から恨んでいるだろうが、自業自得だろう。

 来年4月の任期までにきっちりと責任が追及され、黒田総裁は責任を取って辞めざるをえなかったという形にしなければならないと思う。それでもツケを払わなければならないのは国民なのだ。

 なんとか少しでもソフトランディングできる方法が無いのかを考えることが、今年の重要な投稿テーマだと考えている。



(注4)
市場を大騒ぎさせたブルームバーグ・日高正裕記者の記事。その謎に迫る!」(ZAi FX! 2016/5/9)
反黒田派!? 日高正裕記者の記事は日銀がリークしたものだったのか?」(ZAi FX! 2016/5/11)
ブルームバーグ・日高正裕記者の記事に出てくる(日銀)関係者って誰よ?」(ZAi FX! 2016/5/14)
BOJ Officials Saidの謎:ブルームバーグの英文タイトルはあとから改変されていた!?」(ZAi FX! 2016/5/16)



追記 2017/2/5 7:30
2016/9/25付けのエントリー「「新しい金融緩和の枠組み」の評判」の最後の方の(3)に張り付けた記者会見動画と比較してみると、黒田総裁のまばたきの回数は今回の方が非常に多い。そうとう緊張やストレスを感じていたんだろうなぁ。



スポンサーサイト

Category - 経済

黒田日銀総裁 1月31日 金融政策決定会合 記者会見 異次元緩和 出口戦略議論 時期尚早 国債 長期金利 急上昇

0 Comments

Post a comment