51%の真実

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加計学園事件追及を拒む力_内閣人事局、首相補佐官、安倍勢力、右傾化のうねり・・・

 加計学園事件(アベンドゲート)は安倍政権にとって最大の危機(逆に反安倍勢力にとっては最大のチャンス)だとは思うのだが、私は安倍政権打倒は非常に難しいと考えている。それは、安倍首相が命令したという証拠を突きつけることは不可能だと想像しているからだ。

 だからと言って森友学園事件の時のように、安倍政権側がまったく何の責任も取らないまま幕引きされるような流れだけは、何としても阻止しなければならないと考えている。

 そこで本エントリーでは、安倍政権をここまで強固な体制にしている源(=加計学園事件追及を拒む力)が何かを考えてみたい。


 まず押さえておかなければならないのが、2014年に内閣官房に設置された「内閣人事局」だ。

(1)「立派・許せない・なぜ今… 前川氏会見、霞が関に衝撃」(朝日新聞 2017/5/26)
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 「行政がゆがめられた」。学校法人「加計(かけ)学園」をめぐる問題で記者会見した前川喜平・前文部科学事務次官の証言は、霞が関の官僚たちにも衝撃を与えた。事務方の元トップの告発は、現役官僚や元官僚の目にどう映ったのか。
「すごい、異様、勇気」
 国土交通省を審議官級で退職したOBは、顔と名前を公の場にさらした前川氏の会見に驚いた。<中略>
 前川氏の言動をたたえる声は複数挙がった。<中略>
 ただ、前川氏が会見で「行政のあり方がゆがめられた」と話したことには否定的な見方も多い。
 「許せない。ゆがめられたと感じたなら、止めないといけない」。国交省の現役幹部は憤る。<中略>
 政権から省庁への圧力が強まったとされる要因は、第2次安倍政権発足後の2014年に内閣官房に設置された「内閣人事局」の存在だ。事務次官や局長ら各省庁の幹部人事は従来、各省庁側がまとめた人事案がほぼそのまま通っていた。だが「政治主導」を重視するために設置された内閣人事局が、首相の意向を反映して幹部人事を一元管理し、実質的な幹部の人事権を握るようになった。<後略>
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 今回の前川氏の暴露や会見に対する反応は、OBからは称賛の声が多いのに比較して、現役の官僚(特に幹部)からは否定的な意見や恨み節が多い。

 上記の記事中で国交省の現役幹部は「許せない。ゆがめられたと感じたなら、止めないといけない」と言っているし、菅官房長官も、5月25日の記者会見で「自身が責任者のときにそういう事実があったなら堂々と言うべきだったのではないか」と発言している。これは一見すると確かに一理ある様にも感じる。

 しかしこのOBと現役の反応の違いこそが、私には「内閣人事局」には逆らえない現役の苦悩を表しているように感じる。人事権を握られている部署に、例え間違っていると判っていても現役の時に反旗を翻すようなことがそうそう出来るとは思えない。

 内閣人事局の他にも、NHKの経営委員会メンバーに政権寄りの人物が多いことなど、様々なところでコツコツと政権に有利な体制を作り上げて来たのだ。

 そしてそれを安倍首相に入れ知恵しているのが「首相補佐官」(注1)なのだ。

(注1)「第3次安倍第2次改造内閣 内閣総理大臣補佐官名簿

(2)「首相補佐官が前次官に要請 新設手続き「早く」」(毎日新聞 2017/5/27)
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<前略>
 関係者によると、前川氏は昨年秋ごろ、官邸の和泉洋人首相補佐官に呼ばれて、特区での獣医学部の新設について協議。文科省は2003年3月に「獣医学部の新設は認めない」との告示を出していたことから新設に慎重な姿勢を示していたことを踏まえ、和泉氏は告示改正の手続きに向けて「(大学を所管する)高等教育局に早くしてもらいたい」と要求したという。前川氏は「(文科)大臣が判断されること」と明言を避けたとされる。
<後略>
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 首相補佐官が安倍首相の(指示を受け?)意向を汲み取り、どのようにしたら実現できるかを考え実行している。そして出来るだけ自分達の手を汚すことなく、実働は官僚に押し付ける。

 首相補佐官や官邸の上層部が口を割らない限り、決して安倍首相に届くことは無い。これが冒頭で「安倍首相が命令したという証拠を突きつけることは不可能だと想像している」と書いた理由だ。

 少し脱線してしまうが、首相補佐官の中でも河井克行(かわいかつゆき)補佐官が一番の壁だと私は考えている。安倍独裁を止める為には、まず彼の力を削ぐことが必要だと思う。


 次に安倍勢力(安倍応援団)について触れておきたい。

(3)「菅官房長官、文書の信憑性を改めて否定 加計学園問題」(朝日新聞 2017/5/26)
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 菅義偉官房長官は26日午前の記者会見で、前日の前川喜平・前文部科学事務次官の会見について「(一連の文書は)出所不明で、信憑(しんぴょう)性も欠けている。その点は昨日の(前川氏の)会見があっても変わらない」と強調。「行政がゆがめられた」との前川氏の発言について、「指摘は全くあたらない」とした。同氏の出会い系バーへの出入りについては、同氏の会見後に杉田和博官房副長官から「本人に確認したところ事実だったので、厳しく注意した」との報告を受けたという。前川氏の「女性の貧困問題の調査」との説明には、「強い違和感を覚えた。常識的に言って、教育行政の最高の責任者がそうした店に出入りし、小遣いを渡すことは到底考えられない」と批判した。<後略>
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 官邸や政権の中で一番の曲者は、やはり菅官房長官だろう。ただ今回の加計学園事件での前川氏の暴露に対する対応は、これまでと違い少し菅氏らしくないと感じる。これは加計学園事件が致命傷になり自身にも危険が及ぶ可能性を、菅官房長官がかなり強く意識しているからではないだろうか?

 しかし記者会見で「出会い系バーへの出入り」について、前川氏が「女性の貧困問題の調査」と説明したことで、このままの(前川氏を貶める)戦略で逃げ切れると確信したようでらしく、鼻で笑いながら小馬鹿にしたような表情で「さすがに強い違和感を覚えた。」と切って捨てた。

 確かに国民の多くも、同じように違和感を感じた人が多かったのではないかと思う。私自身もご多分に漏れず、同じ印象を持った。逆に考えると「出会い系バー」醜聞さえうまくクリアーできれば、前川氏の暴露告発への国民信頼性は、限りなく100%に近づくのではないかと感じる。

 前川氏の人柄については、色々な人から称賛する声やエピソードが漏れ聞こえてくる。これは本当に願望でしかないのだが、前川氏の拙い言い訳と思われた「女性の貧困問題の調査」が、当時の当事者の証言で実証されないかなぁと淡い(そして甘い?)期待を抱いてしまう。(これは文春や新潮が得意な分野領分だろう。実はこの前川氏の発言が、加計学園事件の行く末を決める最も重要なファクターになるのかもしれない?)(注1)


 そして、産経新聞の安倍政権びいきにも本当に手を焼かされる。
 
(4)「どちらも民進 「獣医学部実現」担当相に要望 加計氏父と30年来の付き合い」(産経ニュース 2017/5/26)
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 学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の大学獣医学部新設計画をめぐり、民進党は安倍晋三首相への追及を強めている。ところが、かつては党所属議員自らが愛媛県今治市への国家戦略特区指定を求める国会質疑を行ったり、関係省庁に問い合わせをしたりしていた。逆に、獣医学部新設に反対した日本獣医師会から過去に政治献金をもらった議員も存在。問題を追及する民進党の立ち位置も問われそうだ。(奥原慎平)<後略>
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 安倍首相もだが、どうして都合が悪くなると民進党も同じようなものだとか、民進党の方がもっと悪いという戦法で、物事の本質から目を逸らそうとするのだろう。確かに民進党も50歩100歩なのかもしれない

 しかしいま権力を握っているのは自民党であり、安倍政権の時に起こった事件について議論しているのだ。それを直接関係あるなしや事の重大さの大小に係わらずどんどん発信し、論点を本質から逸らし発散させていく。

 安倍応援団のしつこさやメンタリティには、心が相当強くなければ太刀打ちできそうにない・・・


 そして最後に、世の中の右傾化のうねりが影響して安倍政権を優位な方向に導く、目に見えない力も無視できないと感じる。

 例えば、明日今日にでも出てくるであろう世論調査だが、今回は日経新聞の順番で内閣支持率が高めに出るターンなのだ。(テレビ局は狭間で実施しないか、もしくはTBSでこれも内閣支持率が高めに出るターンだ・・・) おそらく最低でも悪くても50%をキープし55%には届かない感じではないかと私は想像している。

 また、加計学園事件の追及にも常に北朝鮮有事による突発的な中断の影が付きまとう。

 一旦動き始めた世の中のうねりは簡単には止められず、常にそのうねりのベクトルに合っているものに、善悪関係なくポジティブな力を与えてしまうのだ。

 しかし、そのうねりを止め反対方向に向けさせるには、小さいからとあきらめずコツコツと反対方向の力を加え続けるしかない。この4年間に安倍政権の問題点を指摘してきた多くのブロガーの努力は、決して無駄にはなっていないはずだ。

 諦めなければ可能性が消えることはない。諦めることは安倍政権を肯定するのと同じことだ。そう言い聞かせながら自分を鼓舞している安倍政権5年目であった・・・



追記 2017/5/29 22:20

 今日出てきた日経新聞の5月世論調査の内閣支持率は56%でしたね。予測が少し甘かったか・・・

追記 2017/6/1 18:00

(注1) 「出会い系バー」醜聞については、週刊文春の記事が出たので以下のエントリーに追記しました。

 「世論調査は結果だけで判断するべからず!?(加計学園事件の影響は今週末の結果待ちだ!)



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Category: 政治
Published on: Mon,  29 2017 06:00
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アベンドゲート 加計学園事件 内閣人事局 首相補佐官 前川喜平 出会い系バー

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