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理想的な選挙制度を考える1 ~比例代表制~ (選挙制度考察7)

B4

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 2017年9月8日のエントリー「選挙制度考察5_野党共闘が不要な選挙制度に変えるべきだ!」では、冬眠前に私の考える理想的な選挙制度について一応の結論を出しておきたいとの思いが先行し過ぎて、検証が足りない稚拙なエントリーとなってしまった・・・

 現時点でも明確な結論が得られている訳ではないが、これから何回かに分けて検証過程を纏めてエントリーしていき、年末までに今度こそ何らかの結論が出せないかと考えている。(それが世の中の選挙制度改革議論の盛り上がりに寄与出来ればと願いながら、、、)

さて検証再開にあたり、まずは各選挙制度のメリット・デメリットについて表1に簡単に纏めてみた。(私的評価である点、大・中選挙区制は今回の検証に含めない予定なので除外した点に留意して見て頂きたい。)


【表1】 選挙制度比較(メリット/デメリット)

項目

小選挙区制

小選挙区比例代表並立制(注1

比例代表制

概要

一選挙区に付き一名を選出

小選挙区制と比例代表制のハイブリッド

政党の得票率に比例して議席配分

投票

一人一票

一人二票

一人一票

長所

①国民の力で政権交代を起しやすい?

②政治家にさせたくない候補がいれば対立候補に投票すれば落選させやすい

③選挙区の住民と議員との間の結びつきが強い

小選挙区制と比例代表制それぞれの長所を得て短所を補うことが出来るとされる

①死票の発生を抑える事ができる。

②得票率と議席率が一致(世論・民意を議会に正確に反映/少数政党の意見も国政に反映)

短所

①死票が多くなる(議席数は、政党の得票率に対して三次関数の議席数になる:三乗法則)

②政治的に少数派の意見が国政に反映されにくい。(二大政党制になりやすい?)

③二大政党の間で妥協や相乗りが生まれれば事実上の一党制に極めて近い状況にもなりやすい。

一定以上の組織票を持つ政党が、一人二票を意図的に振り分け融通することが可能

①強力な政権を生み出し難く、連立政権になりやすい?

②中小規模政党が多い場合、政局が不安定になりやすい

③選挙民から候補者を選べないという不満が出やすい

④全国的に知名度が高い著名人が当選しやすい?

(注1)本来なら大・中選挙区制が入るところだが、今回は話の構成上除外することにした。



 現状の小選挙区比例代表並立制の問題点が、一人二票と公明党の組織票の相性の悪さだと私は確信している(「選挙制度考察6_野党共闘検証~第48回衆院選」を参照のこと)ので、一人一票の選挙制度に戻すことを考えた場合、単純な比例代表制と単純な小選挙区制の両方を検証してみるのが良いと考えた。

 そして時間も限られているので、今回はまず第一歩として「選挙制度考察5」で気になっていた、みんなの党の一人一票比例代表制法案」について検証してみることにした。

 みんなの党「一人一票比例代表制法案」についてはリンク先の資料を一読して欲しいのだが、リンク切れになることも考えて以下に簡単に要旨を纏めてみた。


 ●みんなの党「一人一票比例代表制法案」要旨
   (1) 一人一票
   (2) 定数を300人に削減
   (3) 非拘束名簿式比例代表制
      ・選挙区は現行衆議院比例ブロック
       ※現行制度から移行し易い
      ・政党名か名簿記載の候補者名のいずれかに投票
       ※無所属候補も政治団体として立候補可能
      ・全国ベースで集計して各政党に議席配分(ドント方式)
      ・政党別に選挙区ごとの得票比で議席配分(最大剰余方式)
       ※一票の格差、定数の不均衡は生じない
       ※投票率が高い選挙区ほど議席が増えるインセンティブ有
      ・選挙区ごとに各政党の中で「候補者投票」の多い順に当選者を決定
       ※候補者投票が極端に少ない人が当選する可能性有


 事前の段取りはここまでにして、以下からは検証結果について書いてみたい。

 今回は最新の第48回衆院選と、民主党が政権交代を果たした第45回衆院選の結果を基に議席シミュレーションを行った。表2と表3がその結果である。(*1は実際の選挙結果、*2/*3/*4がシミュレーションにより得られた議席数と議席率の結果)


【表2】 第48回衆院選の比例代表得票数を基にした議席シミュレーション  データまとめ 51%の真実 B4
    現行定数(176) 現行定数(176) 第46回以前の小選挙区と同定数(300)
  *1 *2 *3 *4 *2 *3 *4
党派 得票数 得票率 現議席 議席率 議席 議席 議席率 議席 議席率 議席 議席 議席率 議席 議席率
自由民主党 18,555,717 33.3% 66 38% 59 60 34% 65 37% 100 101 34% 109 36%
公明党 6,977,712 12.5% 21 12% 22 22 13% 21 12% 38 38 13% 37 12%
日本のこころ 85,552 0.2% 0 0% 0 0 0% 0 0% 0 0 0% 0 0%
与党小計 25,618,981 46.0% 87 49% 81 82 47% 86 49% 138 139 46% 146 49%
希望の党 9,677,524 17.4% 32 18% 31 31 18% 32 18% 52 52 17% 52 17%
日本共産党 4,404,081 7.9% 11 6% 14 14 8% 11 6% 24 24 8% 22 7%
日本維新の会 3,387,097 6.1% 8 5% 11 11 6% 8 5% 18 18 6% 15 5%
立憲民主党 11,084,890 19.9% 37 21% 35 35 20% 38 22% 60 60 20% 63 21%
社会民主党 941,324 1.7% 1 1% 3 3 2% 1 1% 5 5 2% 1 0%
新党大地 226,552 0.4% 0 0% 1 0 0% 0 0% 1 1 0% 1 0%
幸福実現党 292,084 0.5% 0 0% 1 0 0% 0 0% 2 1 0% 0 0%
支持政党なし 125,019 0.2% 0 0% 0 0 0% 0 0% 1 0 0% 0 0%
無所属 - - - - - - - - - - - - - -
野党小計 30,138,571 54.1% 89 51% 95 94 53% 90 51% 162 161 54% 154 51%
合計 55,757,552 100.0% 176 100% 176 176 100% 176 100% 300 300 100% 300 100%
*1:現行11ブロック/ドント方式
*2:全国1ブロック/最大剰余方式
*3:全国1ブロック/ドント方式 ≒ みんなの党「一人一票比例代表制法案」
*4:全国11ブロック/ドント方式
【表3】 第45回衆院選の比例代表得票数を基にした議席シミュレーション  データまとめ 51%の真実 B4
  当時の定数(180) 当時の定数(180) 小選挙区と同定数(300)
  *1 *2 *3 *4 *2 *3 *4
党派 得票数 得票率 現議席 議席率 議席 議席 議席率 議席 議席率 議席 議席 議席率 議席 議席率
民主党 29,844,799 42.4% 87 48% 76 78 43% 88 49% 127 129 43% 138 46%
社会民主党 3,006,160 4.3% 4 2% 8 7 4% 4 2% 13 13 4% 9 3%
国民新党 1,219,767 1.7% 0 0% 3 3 2% 0 0% 5 5 2% 2 1%
新党日本 528,171 0.8% 0 0% 1 1 1% 0 0% 2 2 1% 0 0%
新党大地 433,1220.6% 1 1% 1 1 1% 1 1% 2 1 0% 2 1%
民社国系小計 35,032,019 49.8% 92 51% 90 90 50% 93 52% 149 150 50% 151 50%
自由民主党 18,810,217 26.7% 55 31% 48 49 27% 53 29% 80 81 27% 86 29%
公明党 8,054,007 11.5% 21 12% 21 21 12% 20 11% 34 34 11% 33 11%
改革クラブ 58,141 0.1% 0 0% 0 0 0% 0 0% 0 0 0% 0 0%
自公系小計 26,922,365 38.3% 76 42% 69 70 39% 73 41% 115 115 38% 119 40%
日本共産党 4,943,886 7.0% 9 5% 13 13 7% 9 5% 21 21 7% 20 7%
みんなの党 3,005,199 4.3% 3 2% 8 7 4% 5 3% 13 13 4% 10 3%
幸福実現党 459,387 0.7% 0 0% 1 0 0% 0 0% 2 1 0% 0 0%
その他諸派合計 7,399 0.0% 0 0% 0 0 0% 0 0% 0 0 0% 0 0%
無所属 - - - - - - - - - - - - - -
その他小計 8,415,871 12.0% 12 7% 22 20 11% 14 8% 36 35 12% 30 10%
合計 70,370,255 100.0% 180 100% 180 180 100% 180 100% 300 300 100% 300 100%


 余計な情報も入っているが今回特に見てもらいたいのは、得票率(黄色ハッチ部分)に対する*1の議席率(青ハッチ部分)と定数300の*3の議席率(ピンクハッチ部分≒みんなの党案)である。

 みんなの党案では、第48回/第45回共に議席率が得票率とほぼ誤差なく一致している。現行の小選挙区比例代表並立制の比例11ブロック/ドント方式よりも、更に得票率に忠実で死票の無い制度と言える。

 しかし裏を返せば、マスメディアの世論調査の政党支持率推移から選挙結果(各政党の議席数)が予測し易い制度ともいえる。はる / みらい選挙プロジェクトさんが注力されている「集票力関数」があれば、ほぼ正確に選挙結果が予測可能かもしれない。(ただし、投票率が50~60%程度の範疇から外れると誤差(誤算)が生じるかもしれない?)

 また、過去の政党支持率推移で第一党でも50%を超えることは滅多に無いことを踏まえると、まさに強力な政権を生み出し難い制度と考えられる。

 だとすると、与党となり更に安定した政権運営を行う為には、連立政権がほぼ必須になると思われる。

 私は連立政権が悪いとは思わないし、みんなの党案は一党独裁的な政権が生まれやすい制度よりは余程ましな制度だと思う。

 しかしここで懸念されるのが、表2と表3で赤太枠にした部分だ。

 具体的には、与野党それぞれの第一党勢力(2大勢力)が拮抗し、いずれも過半数を制することができない場合、キャスティング・ボートを握る第三or第四の政党が出てきて、強い立場に立ってしまうのではないかという懸念だ。

 更に言うと、公明党のような大きい組織票を持った政党が、選挙のたびに安定的に10%以上の議席を獲得し、与党野党どちらの第一党勢力が勝っても、いつの間にかキャスティング・ボートを握って与党に返り咲いているという事態が発生するのではないかという懸念だ。

 集票力関数から選挙結果が予測し易いという事になると、投票率は今より更に下がることも考えられ、その場合は更に組織票の価値は高まり組織票を持つ政党の議席率が増加することにもなりかねない。最悪の悪循環だ・・・

 2017年9月8日のエントリーで、なぜ私が比例代表制だけのケースではなく、「一人一票に変えた小選挙区比例代表並立制もどき」のケースを模索しようとしたのかの理由が、今回の検証で明確に解った気がする。

 それは、私の考える選挙制度の一番目の条件(●新しい選挙制度は、公明党組織票の影響が少ない制度でなければならない)に、比例代表制が合致しないのではないかという懸念を、漠然と感じていたのだろうということだ。

 長くなったので詳細な説明は避けるが、今回の検証でみんなの党案には上記以外に、少なくとも以下3点の問題があるのではないかと感じている。

 1.無所属候補が実質ほとんど当選できないだろうという点
 2.候補者投票が極端に少ない人が当選する可能性がある点
 3.全国的に知名度が高い著名人が当選しやすい可能性及び議席数に与える影響が大きい可能性がある点


 最後に、今回の検証でもう1点感じたのは、立憲民主党をはじめとした野党が選挙制度改革議論に消極的なのは、一人二票の小選挙区比例代表制は問題が多いと解っていても、デメリットが小さく政権交代が可能な制度はこれしかないと思い込んでいるのではないか、そしてそれは当たらずとも遠からずなのではないかということだ。

 しかし私は、一人二票の小選挙区比例代表制でもう一度政権交代を実現できる可能性はかなり低い、野党はデメリットの大きさを読み間違っているとも感じる。

 そこで次回は、最も政権交代を起しやすいとされる、小選挙区制のみのケースについて検証してみたいと考えている。



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Comments 2

There are no comments yet.
mew  
やっぱ中選挙制かな~

ご無沙汰しています。コメント&トラバ、有難うございます。

mewは、またそのうちブログに書きたいと思っているのだけど。
最初から小選挙区制には反対だし。
もともと政党を信用、重視していないので、比例代表も反対で。
やっぱ、中選挙区制に戻すのが一番いいかな~と思っているです。

あとホント、公明党を何とかしないとですよね~。
自民党に重大な秘密を握られていて、歯向かえない状況にあるとか、
与党利権を手放せなくなっているなどの話が出ているけれど。
知人は「公明党こそ諸悪の根源」だと怒りまくっております。

夏ドラマは、毎週録画しているのが「グッド・ドクター」と「義母と娘・・・」の2本。
「この世界の片隅・・・」は、何となくチラチラと見ています。
B4さんが「チアダン」を気に入ったとは・・・。ほ~~~。(笑)

お互い、たぶんそこそこの年齢なので(涙)
B4さんも暑さ対策をしっかりして、体に気をつけて下さいね~。(・・)

2018/08/14 (Tue) 05:51 | EDIT | REPLY |   
B4  
Re: やっぱ中選挙制かな~

> やっぱ、中選挙区制に戻すのが一番いいかな~と思っているです。
> あとホント、公明党を何とかしないとですよね~。
> 知人は「公明党こそ諸悪の根源」だと怒りまくっております。
>

この先で中選挙区制も検証しようとは思っています。ただ現段階でwikipediaで第40回以前の結果を見ただけでも、公明党が自民党と組むという条件が加わると、今よりも良くはならないだろうという感じがしています。

ttps://ja.wikipedia.org/wiki/衆議院議員総選挙

ちなみに私は紆余曲折の結果、「投票に行かない有権者」が諸悪の根源だと思っています。


> 夏ドラマは、毎週録画しているのが「グッド・ドクター」と「義母と娘・・・」の2本。
> 「この世界の片隅・・・」は、何となくチラチラと見ています。
> B4さんが「チアダン」を気に入ったとは・・・。ほ~~~。(笑)
>

中盤まで見た結果、チアダンは脚本が甘くて順位をかなり下げてしまいました。素材が良かっただけにもったいない・・・
太郎先生が事故にあうエピソードを入れるくらいなら、第3話の途中経過(練習風景)などをもう少し深堀して欲しかった。

現時点では、以下の順位になっています。
1.透明なゆりかご 視聴前の為未評価
2.グッド・ドクター ▲
3.ハゲタカ 〇
3.義母と娘のブルース 注
5.この世界の片隅に 〇
6.絶対零度~未犯潜入捜査~ ▲
7.高嶺の花 注
8.チア☆ダン ◎



2018/08/14 (Tue) 21:11 | EDIT | REPLY |   

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