51%の真実

経済

異次元緩和の「総括的な検証」の検証+本題

 日銀は9月21日の金融政策決定会合で、異次元緩和の「総括的な検証」の報告を行い、検証結果を踏まえて午後1時過ぎに、長短金利を誘導目標とする新しい金融緩和の枠組みを導入することを発表した。

 これにより午前中は下落していた株式市場は、日経平均終値で前日比+315.47円の16,807.62円と大幅高で終了した。また、為替相場も午後2時過ぎに1ドル=102.78円まで円安となり、市場は取りあえず今回の日銀の政策を好意的に捉えたようだ。

●異次元緩和の「総括的な検証」のポイント
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1. 量的・質的な異次元金融緩和は、金融環境の改善や経済・物価面の好転で、「物価が持続的に下落する」
  という意味でのデフレではなくなった
2. 物価上昇率2%目標を2年で達成できなかった要因
 (1) 原油価格の下落
 (2) 消費税率8%への引き上げ後の消費・需要が悪化
 (3) 新興国経済の減速
3. マイナス金利政策は金利を大きく押し下げ有効であることが明らかになった
4. フォワード・ルッキングな(政策決定時に先行きを見据えて判断するような)手段で、期待形成の強化が重要
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●新しい金融緩和の枠組み
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これまでの「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の枠組みを維持したうえで、強化する形として
1. 「物価上昇率が安定的に2%を超えるまで」金融緩和を続ける = 「オーバーシュート型コミットメント」
2. 「長短金利操作付き」量的・質 的金融緩和を導入する = 「イールドカーブ・コントロール」(注1)

(注1)
「イールドカーブ・コントロール」とは、国債の「利回り曲線の操作」のことで、黒田総裁は以下の方法で十分コントロール可能と言っている。ただし、長期金利は様々な要因によって決まるので、短期金利と同じようにコントロールするのは難しいとも言っている

コントロール方法
短期金利は、日銀当座預金(300兆円超)のうち、政策金利残高(10~30兆円程度)にマイナス0.1%を適用
      =現状維持
長期金利は、10 年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するように、長期 国債の買入れを実施
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 さて、タイトルの異次元緩和の「総括的な検証」の検証だが、まったく検証に値しないので簡単に感想だけ書いておきたい。

異次元緩和でデフレスパイラルからの脱却はできた。でも、物価上昇率2%目標は達成できなかった。(だって、内的および外的にネガティブ要因が大きすぎたし、安倍首相が第3の矢をやってくれないんだからしょうがないじゃん!)

 きっとこれが黒田総裁の本音だと思う。市場を混乱させない為に「失敗しました」とは口が裂けても言えないことは分かっていた。だから「総括的な検証」の内容に怒っても仕方ない・・・

 本題は「新しい金融緩和の枠組み」の検証で、こちらの方がよっぽど重要だ。

 黒田総裁は「異次元緩和やマイナス金利はまだまだ深堀り出来る」と強がっていたが、9/20までの状況はもうほとんど手が残されておらず、首が回らない状態であった。

 異次元緩和は、これ以上増やしても意味がないばかりか弊害が大きすぎる。本音ではもう縮小の方向に持っていきたいはずだ。

 可能性が残されているのは、マイナス金利の深堀りだが、「日銀当座預金(300兆円超)のうち、政策金利残高(10~30兆円程度)にマイナス0.1%を適用」しただけの「なんちゃってマイナス金利」なのに、市場が過剰反応し過ぎて想定外の効果を発揮し、10年国債利回りが7月末に▲0.3%をつけるなど、コントロールできない異常な状態になってしまった。

 20~40年の国債利回りも相次いで過去最低を更新し、20年の国債利回りがゼロに近づくほど異常な利回り曲線になった。その為、銀行の収益が悪化するばかりかマイナス金利の深堀りもできず、日銀はお手上げ状態にまで追い詰められてしまった。

 今後、日本市場が弱気になり下げ圧力に晒された時に備えて、「マイナス金利拡大」という奥の手を使えるように、日銀はどんな手を使っても「利回り曲線を正常な形」に戻し、どうしても主導権を取り戻す必要があった。

 今回の「新しい金融緩和の枠組み」は、それをなんとか実現できそうな感じだ。だから今回発表した政策については、私も取りあえずは悪い方向では無かったと思っている。(本当は、少なくとも10年国債利回りはプラスで無いと正常な利回り曲線とは言えないし、ソフトランディングが可能なら今すぐにでも緩和縮小へ舵を切るべきだと思うが・・・)

 問題は、「本当に利回り曲線の操作が思った通りにできるかわからない」ことと、物価上昇率が安定的に2%を超えるまで金融緩和を続けると言って、「市場の追加緩和の期待を更にあおり自分の首を絞めてしまった」ことである。

 利回り曲線の操作は、日銀が指定する利回りによる国債買入(指値オペ)を導入し、10年国債まではゼロ金利辺りに張り付けておき、10年より長い長期国債の買入れ額は絞り、意図的に高い利回りで指値オペして利回りを「高止まり」させる方法を取ると考えられるが、もしうまくいったとしても国債相場をますます日銀管理相場にして歪めてしまうだけだ。

 これはもう、市場原理が働かないどこかの国の株式市場となんら変わらないではないか・・・

 結局、今回は量的・質的に現状維持という実態であったため、9/22の海外の円相場は早速円高方向に逆戻りしている。まあ仕方のないことだろう。

 異次元緩和の継続はどう考えても「国民を巻き込んだチキンレース」であり、安倍首相の野望の為に「日本国民の血税をおもちゃにするな!」と、怒りだけが込み上げてくる今回の発表であった。


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