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選挙制度考察3_自公連立(組織票)の弊害~第45回衆院選~

B4

B4

※この記事は「日本がアブナイ!」さんに 2014/12/2、2015/3/15、2015/3/16、2015/3/23、2015/3/24に投稿したコメントを基に、大幅に追記・再構成して転載しています。


 前回の、組織票の影響を埋めるには投票率が65%以上必要という考え方が正しいのか検証するために、民主が圧勝した2009年(平成21年)8月30日の第45回衆議院議員総選挙の結果から考えてみる。

【表1】小選挙区に支持政党候補がいなかった場合の、比例区投票先と票数に関する考察          得票数単位:百万票

党派

小選挙区

比例代表

合計

小区-比区

小選挙区に支持政党候補が

いなかった場合の投票先と票数

得票数

得票数

得票数

得票差

民主党

33.47

29.84

63.31

3.63

 

社国他※

2.33

5.19

 7.52

2.86

社国→民主  2.6百万票

民社国合計

35.80

35.03

70.83

0.77

※社民/国民新党/新党日本/新党大地

自民党

27.30

18.81

46.11

8.49

 

公明党

0.78

8.05

8.83

7.27

公明→自民  7.2百万票

自公合計

28.08

26.86

54.94

1.22

 

共産党

2.98

4.94

7.92

1.96

 

みんな

0.62

3.01

3.63

2.39

みん→民主  1.0百万票

みん→自民  1.3百万票

無所属他

3.10

0.53

3.63

2.57

 

その他合計

6.70

8.48

15.18

1.78

 

全体合計

70.58

70.37

140.95

0.21

 



 前回と同様な考え方で得票差のマイナスの数値が、どの党からどの党に流れたのか?

 入りくりがあるので正確ではないが、おおよそ公明→自民7.2百万票(7.2M)、社国他→民主2.6M、みんな→自民1.3M/民主1Mではないかと想像される。

しかし第45回衆院選は投票率が69.28%(約70%)で、第47回衆院選の投票率52.66%と比較して、16.62%も上乗せがあったため、7.2百万票の効果は打ち消されて自民党の小選挙区得票数を民主党が上回っている。

 それでは自民党と民主党の小選挙区得票数が拮抗する投票率は何%だったのだろうか?

【表2】第45回&第47回衆院選の得票率と議席数の抜粋                   得票数単位:百万票、議席数単位:席

党派

 

小選挙区

比例代表

小区-比例

得票

得票率

議席

議席率

得票

得票率

議席

議席率

得票

得票率

民主   第45回衆院選(投票率69.28%):第47回(投票率52.66%) 投票率差16.62%

45

33.48

47.43%

221

73.70%

29.84

42.41%

87

48.30%

3.64

5.02%

47

11.92

22.51%

38

12.88%

9.78

18.33%

35

19.44%

2.14

4.18%

21.56

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自民

45

27.30

38.68%

64

21.33%

18.81

26.73%

 55

30.60%

 8.49

11.95%

47

25.46

48.10%

223

75.59%

17.66

33.11%

68

37.78%

 7.80

14.99%

 1.87

 

 

 

 

 

 

 

 

 



第45回と第47回の民進党の小選挙区得票数の差 21.56百万票(33.48-11.92)
第45回と第47回の投票率の差             16.62%(69.28-52.66)
第45回で自民党と民主党の小選挙区得票数が拮抗するのに、第47回から上積みが必要な得票数
 15.38百万票(27.30-11.92)
第45回で自民党と民主党の小選挙区得票数が拮抗するのに、第47回から上積みが必要な投票率
 X%

X = 15.38×16.62÷21.56 ≒ 11.86%

従って、第45回衆院選で民主党が公明党の組織票((7.2M))を払いのけて、自民党に勝利する為に必要な投票率は64.52%(52.66+11.86)だったと推測される。

 まあ、上記の計算はその時々の政治状況によって大きく変動すると思うが、大きくは外れていないと思う。

 それよりも重要なのは、現在の小選挙区比例代表並立制において、公明党の組織票が自民党の小選挙区候補に上乗せされると、それをひっくり返すためには10%もの投票率の上乗せが必要になる。公明党の組織票はこんなにも厄介なものだということだ。

 私が事あるごとに、選挙を棄権すべきでない&選挙制度改革に取り組むべきだという理由がここにある。


 最期にあんまり意味は無いが、一応今回も公明の7.2百万票がなかったとしたらどうなるか確認しておきたい。

 この選挙で小選挙区に立候補した自民党議員は289名だったので、単純に割り算して1人当たり約2万5千票が上乗せされたと仮定する。小選挙区の1位(自民党)と2位の差が2万5千票以内なら逆転可能として検証してみると、38選挙区(注1)が対象となる。2位が民主党のケースだと、32選挙区がひっくり返る。

【表3】自民候補者1人当たり25千人の公明票による上乗せがあったとして、除外補正した場合の議席シミュレーション

得票数単位:百万票、議席数単位:席

党派

小選挙区

比例代表

合計

得票

得票率

議席

議席率

得票

得票率

議席

議席率

議席

議席率

民主

33.48

47.44%

221

73.67%

29.84

42.41%

87

48.33%

308

64.17%

(補正

33.48

52.82%

253

84.33%

29.84

42.41%

87

48.33%

340

70.83%

社国

2.32

 3.29%

  7

2.33%

5.19

 7.38%

  5

2.78%

 12

2.50%

(補正

 2.32

 3.66%

 12

4.00%

5.19

 7.38%

  5

2.78%

 17

3.54%

民社

35.80

50.73%

228

76.00%

35.03

49.78%

92

51.11%

320

66.70%

(補正

35.80

56.48%

265

88.33%

35.03

49.78%

92

51.11%

357

74.38%

自民

27.30

38.68%

64

21.33%

18.81

26.73%

55

30.56%

119

24.79%

(補正

20.10

31.71%

26

8.67%

18.81

26.73%

55

30.56%

81

16.88%

公明

0.78

1.10%

0

0.00%

8.05

11.44%

21

11.67%

21

4.38%

(補正

0.78

1.23%

0

0.00%

8.05

11.44%

21

11.67%

21

4.38%

自公

28.08

39.78%

 64

21.33%

26.86

38.17%

76

42.22%

140

29.17%

(補正

20.88

32.94%

26

8.67%

26.86

38.17%

76

42.22%

102

21.25%

6.70

9.49%

  8

2.67%

8.48

12.05%

 12

6.67%

 20

4.17%

(補正

6.70

10.57%

  9

3.00%

8.48

12.05%

12

6.67%

 21

4.38%

全体

70.58

100.00%

300

100.00%

70.37

100.00%

180

100.00%

480

100.00%

(補正

63.38

100.00%

300

100.00%

70.37

100.00%

180

100.00%

480

100.00%



 自民と野党で38人が入れ替わったとすると、小選挙区の議席は「自民64vs民主221」が「自民26vs民主253」となり、得票率と議席率のかい離が縮まる。

第45回衆院選の小選挙区の得票率の自民39%対民主47%で、獲得議席数が64(21%)対221(74%)という結果
補正後__衆院選の小選挙区の得票率の自民32%対民主53%で、獲得議席数が26( 9%)対253(84%)という結果

それにしても小選挙区の勝者総取りの特性は凄まじい。

~次回につづくかも


(注1) 38選挙区の詳細情報

 

2位が旧民主党

2位がその他

1位との得票差

選挙区数

選挙区

選挙区数

選挙区

5,000票以内

13

北海道第7

青森県第3

千葉県第11

神奈川県第2

石川県第2

福井県第2

三重県第5

奈良県第4

鳥取県第2

岡山県第1

徳島県第3

愛媛県第1

鹿児島県第4

 2

東京都第11

高知県第1

5,001票~10,000

 8

茨城県第4

栃木県第5

福井県第1

福井県第3

京都府第5

広島県第1

愛媛県第4

熊本県第3

 1

愛媛県第2

小計

 

 

 

 

10,001票~25,000

11

青森県第2区、4

群馬県第4

千葉県第12

岐阜県第2区、4

和歌山県第3

岡山県第5

高知県第3

福岡県第6

福岡県第7

 3

大阪府第13

香川県第3

熊本県第5

合計

32

 

 6

 




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